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東京電力殿 挨拶及び中越沖地震後の対応紹介
7月末より地震対策対応で駐在されている武黒副社長より、ご挨拶と今回の地震を踏まえた今後の地震対策に関する課題等についてお話を頂いた。(図−1)
・設備の復旧状況とともに、社員の調査・作業の姿をWINメンバー自らの目で見て行って頂きたい。
・IAEA調査団来訪の際、当直へ「地震直後に、家族が心配ではなかったか?」のインタビューに対し、「作業が一段落した後、家族の安否を確認した。」と回答した。
日頃の災害訓練が功を奏して、冷静な対応ができたと感じている。
・一方、危機管理の面では、情報発信のあり方に課題があった。初期対応が重要と実感している。危機管理WGを立上げ(10回実施済)、ロジスティクを含めて検討している。例えば、AM10:13に地震があった場合、武黒副社長がヘリコプターにて来所し、PM2:00には、第一報が発信できるようにする
等。
・3号機 変圧器からの黒い煙は、チェルノブイリ事故を連想させてしまった。地震によるパニックから、発電所に関する第一報が地域外からの近親者からの連絡や、マスコミが配信する画面からの情報となってしまった。地元の方より、「第一報に『原子力発電所は大丈夫』の一言があれば、安心して自宅の作業ができる。」との声があり、災害時だからこそ、正確な初期情報が重要である。災害時のヘリのプロペラ音による防災無線への障害、携帯電話の回線集中による不通話等、緊急連絡ツールについても、対策が必要である。
・防災訓練は、実践を重ねていくしかない。地元地域のみならず、社会に安心を与えられる事業者の懐の広さを持っていきたい。
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図−1 武黒副社長殿 ご挨拶と今後の課題の紹介
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高橋発電所長及び南舘 館長より点検調査の状況についての説明を頂いた。
(図−2)
・地盤の海域調査は昨年11月に完了し、陸上は調査中。
・7/16被災から約3,000人以上が所内視察をしている。情報は原則全て公開している。
・調査の結果、管理・設備上で検出された不適合については、年度末迄に取り纏め、報告を予定している。
・耐震強度要求が高い箇所の影響は少なかったが、その他の設備には様々な影響があった。例えば、中央操作室天井からの照明設備落下や、発電所正門は15p陥没し、橋げたには亀裂が入る等の事象があった。
・サービスホールへは1ヶ月に30,000人を超える来訪があった。サービスホール隣の喫茶の建物は、25cmの歪みが生じてしまった。外観からはそれ程の歪みを感じないが、モルタルの圧力で復旧させているとの説明があった。
中越沖地震後の情報公開については、一般的な内容に留まらず、専門技術や作業内容等、徹底した公開がされている。HPにあっては、正に作業スケジュールや詳細な評価結果、報告まで、報告者の常識を越える範囲が提供されており、驚嘆するばかりである。 |
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図−2 高橋発電所長殿 状況説明
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発電所見学 |
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WINメンバーは、3グループに分かれて所内の見学を行った。(以下、山川副長及び守屋主任にご案内頂いたグループの見学内容を報告する。)
雪のため、3号機の変圧器火災現場(図−3)及び主排気筒については、バス車窓と通路窓から外観を見せて頂いた。排気筒とダクトを繋ぐ部分は、蛇腹状になっており、大きく歪められていた。また、ダクト同士の接続箇所(図−4)はズレが生じている。もしこれらが強固に留めつけられていた場合には、振動を吸収することなく、排気筒かダクトのいずれかの破損が想像できる。
サービス建屋から4号機タービン建屋に向かう通路の天井は、地盤の陥没により、通路部と建屋側に段差(図−5)ができており、また、原子炉建屋とタービン建屋の連絡通路(図−6)では、天井の板が落ちてしまい、ケーブルとダクトが丸見えになってしまっている。WINメンバーは、リアルに地震の大きさを目の当たりにし、当時、所内で作業中であった所員の方々がどれほどの恐怖を感じたか、垣間見ることができた。
原子炉建屋に進み、非常用ディーゼル発電機、ほう酸水注入系貯蔵タンク、ドライウェルでは、水圧制御ユニット、高圧炉心スプレイ系ポンプ、原子炉再循環系ポンプ、主蒸気隔離弁を見せて頂いたが、ここでは地震の影響を見ることはなかった。なお、原子炉建屋内に設置された振動検知装置は、4箇所のうち2箇所で水平方向120Gal、垂直方向100Galを超える振動を感じた場合、緊急停止する設定となっているとのこと。
また、中央操作室の監視作業の様子をガラス越しに拝見し、地震以後3交代から2交代で対応さているとの説明であった。
オペレーティングフロアでは、見学キャビンより見学し、山川副長より6号機使用済燃料プール水漏れ事象について、解説があった。
所内見学を終え、サービスホールに向かうバス車窓からは、既に整備された道路と22万本の自生する松を見た。
大規模の松に対する松喰虫駆除は、ヘリからの投薬が一般的であるが、当発電所構内では
1本ずつ人力により駆除対策が施されたために、正確な本数を捉えることができたとのこと。
地震の影響により、本来なら所内の作業中または作業開始予定であった業務の中断が余儀なくなり、事業者として雇用を確保する観点から、発電に直接影響のない道路整備や緑化が進むことになり、雇用の面にも配慮がなされていた。 |
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| 図−3:3号機主変圧器 火災跡(煤) 図−4:廃棄筒へのダクトの歪みを吸収している接合部分 |
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| 図−5:通路側とサービス建屋側の段差 図−6:天井板が落ちた通路を通るWINメンバー |
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WINメンバー間の情報交換 |
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1)
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東北電力 佐藤 会員(図−7)
H17年8月 宮城県沖地震による女川原子力発電所全号機緊急停止から約2年半が経ち、地域への理解普及活動の経験の紹介があった。
発電所だよりを新聞に折込み、調査・解析評価結果を地域へ説明するとともに、発電所員総出による全戸訪問を実施した。国による耐震対策に関する説明会も開催されたが、地元の理解を受けるには、東北電力社員の直接対話訪問が効果的であったとのこと。
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2)
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中部電力 吉田WIN理事
東海地震に備える説明資料を紹介頂くとともに、H19年10月26日 静岡地裁による運転差止め裁判に対する判決・決定結果の概要と経緯の報告があった。原子力関係者が見守る判決の結果は、他電力・各原子力発電所、引いては国全体のエネルギー政策に影響を与えるものである。既に浜岡原子力発電所1号機〜5号機に対して新耐震指針に照らした評価、補強が実施されているが、中部電力殿単独の問題ではなく、技術とは別の次元で対策を要する事例の紹介であった。
(ご参考 訴訟関連HPリンク:http://www.chuden.co.jp/torikumi/atom/trial/index.html)
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3)
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(財)電力中央研究所 佐賀井 会員
2月26日(火)及び27日(水)に開催が予定されている「原子力発電所の耐震安全性・信頼性に関する国際シンポジウム」(主催:原産協会・原技協・電中研、会場:柏崎市産業文化会館)、について、紹介があった。
企画元である電力中央研究所の佐賀井会員より、テーマ及び各国の発表組織の紹介があった。また、これは一般の方の参加を得て、国内外の専門家が一堂に会して開催されるもので、希望者は事前申込みが必要との案内があった。
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4)
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九州電力 藤本WIN理事
(財)九州経済連合会の席にて配布された、欧米環境・エネルギー事情調査団の関連記事について、参考資料として紹介があった。
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5)
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日本原子力研究開発機構 栗原 会員
FBR実用化に向けたFaCT(Fast Reactor Cycle Technology Development)プロジェクトの
一般向け理解推進活動用パンフレットの見直しにあたり、当プロジェクトの概要及びパンフレット改訂の主旨説明があった。また、WINメンバーへのレビュー協力依頼があり、別途参加者へ具体的な関連資料送付とともに、レビュー依頼が配信される。
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図−7 佐藤会員による報告
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| 5.まとめ |
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中越沖地震を経験した柏崎刈羽原子力発電所は、国内発電所の耐震対策に大きな影響を及ぼすばかりか、その調査結果と対策に世界各国から注目が集まっている。
一方、現在、国内の原子力発電所は、テロ対策のため所内の見学が制限されているが、今回、WINメンバーは自らの目で、最大マグニチュード6.8の振動を受けた影響を確認することができた。有象無象の情報を読むよりも、これほど事実を正確に知り得る手法はない。
発電所見学の制限は、社会への情報公開(説明責任)の観点とは矛盾しており、広報活動では大きなジレンマがある。各発電所の地域理解促進活動にあっては、様々な工夫とご苦労をされていることと思う。報告者個人は、国民が原子力発電について正しい知識が持てるよう、今後、見学制限が緩和されていくこと期待している。
ダメージを受けた設備は、時間の経過とともに物質的な復旧・改善されていくが、建設当初の知見を越える被災を経て、地域住民に対する東京電力殿の対応は、課題も含めてWINメンバーがそれぞれの職場へフィードバックし、活かしたい内容である。
最後に、点検・復旧作業が多忙を極める中、ドライウェルの中にまでご案内頂き、
東京電力殿には、本報告を借りて、心より感謝したい。 |
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― 以上 ―
WIN-J会員 東芝 佐藤(記)
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