| プログラム |
| 1.開会とWIN活動状況紹介 |
| (1)小川会長より挨拶 |
| (2)西村理事よりWINの組織と活動の紹介 |
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挨拶する小川会長(左)と
WINの活動報告をする西村理事 |
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| 2.パネルディスカション |
| (1)各パネリストのプレゼンテーション |
| ●コーディネータ菊山さんより挨拶 |
| 昨今、世界中で「原子力ルネッサンス」という言葉を聞くようになり、原子力エネルギーの将来に明るい兆しが見えている。さらに最近のオイルやガスの価格、地球規模の気候変動の問題などにより原子力産業が復活しつつある。原子力は、将来においても安定性が高く、使いやすい電力供給源であるが、人々から信頼されなければ、その実現は難しい。そのために、信頼を得るための継続的な努力が必要である。本日は3人のパネリストからどのようにして一般市民と良いコミュニケーションが図れるか、市民から信頼を得ることができるか、について示していただく。 |
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原子力委員会における一般市民との対話促進についての私の体験
松原純子さん |
これまで7年ほど原子力安全委員会で委員を務めてきた。年に2回ほど地方都市でミーティングを開催し、一般の市民と直接対話をする機会を設けている。また通常の委員会は週に2回公開で開催されてきた。一般からの様々な質問に対しても、原子力安全委員会は答えている。これらの場は、原子力関連の問題についての議論の場であると同時に一般市民の原子力や放射線に対する理解促進に寄与している。
日本人の原子力に対する知識と理解の現状について興味深いデータがある。話すことに関しては消極的ではあるが、放射線、タバコ、航空機などについて、リスクとベネフィットの両方に関しての理解度を調査してみると、タバコに関しては、リスクがあることを知っている上に、ベネフィットということに関しては航空機などに比べて低いと認識していることがはっきり示されている。また、放射線についてもリスクがあることは分かっている上で、ベネフィットの部分があることも理解していることが示されている。つまり、なかなか自分から話すことはしないものの、理解はできているということを示しているといえる。これは、物事がきちんと説明をされることが重要であり、それによって一般の方の理解は進むはずであるということである。たとえば、放射線によるDNA損傷をあげると、どんな線量の放射線でもがんになると考えている人が多いが、生物には損傷を修復する機構があり、実際には放射線によってDNAに傷がついたからといって、それがすべてがんになるということはなく、高線量・高線量率でなければがんにならない。こういうことも含めて、専門家がきちんとはなさなければならないことがまだまだあるのではないか。
リスクリテラシーやリスクコミュニケーションの醸成は一般市民やステークホルダーにとっても重要なことであり、健康リスクというものは人々にとって共通の最も関心の高い事項なのだから。 |
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原子力技術者と市民のコミュニケーションの重要性
Sue Ion (スー・イオン)さん |
セラフィールドではここ20年で近隣住民とのコミュニケーションがよくなってきている。これまで原子力施設の情報は、施設側から発信するものしかなかったが、1977年以降、独立した組織が必要という一致した見解のもと、連絡委員会(SLLC)を設置し、プレスへの報告だけではなく、市民側からの質問を受け、それをウェブサイトに公開するなどの活動をしてきていることの成果だと思う。SLLCの現副委員長は女性であり、さらに偶然ではあるが、現議員はすべて女性である。だからというわけではないが、SLLCは地方議会とも良好な関係にある。
BNFLでは、セラフィールドビジターセンターの設置、主要なステークホルダーとの会談、パンフレットやウェブサイトでの情報公開といった活動も進めている。ビジターセンターでは、積極的に施設見学を受け入れ、今では年間のべ10万人の見学者がある。このような活動では、きちんとした計画と運用の説明や地域住民の計画への取り込みが必要となる。そもそも全国規模で物事を進めようとするとき、もっと小さな地域レベルから進める必要があり、これは忍耐と時間が必要なことはいうまでもない。
BNFLでは市民の信頼を得るために多くの場所で女性が参画している。女性は、市民への説明において恐怖を与えず、強い絆を構築することに長けている。BNFLでは女性を大使として、学校や地域の行事などに派遣して様々な活動をしている。しかし、そもそも小学校などでは子供たちの興味は物理や数学、化学には向いていない。少しでも興味を持ってもらい、理解してくれるよう手助けしていくつもりだ。現代ではまた、メディアの活用は大きな成果を挙げることができる。イギリスでは子供たちに科学や工学を受け入れやすくするため、科学番組に女性の科学者(教授)が出演し、人気を呼んでいる。 |
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原子力分野の研究者は、市民との対話についてどのように考えるべきか?
Susan E Pickett (スーザン・E・ピケット)さん |
エンジニア、という言葉を辞書で調べると、「問題解決のための科学的知識を持って、情報を社会に供給することができる人であり、市民ときちんと話ができるものである」と書かれている。エンジニアの義務は、誠実に、公平に、プロとしての知識をもって社会のために無制限に貢献し、一般大衆との対話を続けることにある。エンジニアは、問題が起こったときに、それが何によって起こっているのかを知っているので、市民と直接対話することによって、市民の考えを吸い上げながら、解決に向かわせることができる。これには、メディアや教育をどのように活用していくのかも重要である。
日本においては、市民との直接対話ではなく、メディアやパネルディスカッションによる対話がされていた。市民との対話の場に、問題点が何かを知っている専門家が加わることによってより解決に向かうはずである。これは原子力の事柄に限らず、環境、食品添加物問題などについても同じことが言える。解決策の選択肢の精査や政策に対しても、多くの選択肢を創出し、それらを評価できる専門家の意見は意味がある。市民との対話を通じて、エンジニアはその専門知識に基づいた貢献ができるし、リスクに対して異なる認識をもつ人とのギャップを埋める役割を果たし、より複雑な問題を解決するための協力が可能である。 |
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| 3.会場との意見交換 |
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参加者A:WINのすばらしい活動に感銘を受けた。あえて苦言を申し上げるなら、女性だけの組織として、男性を正会員ではなく賛助会員とするのは差別である。第1の質問は、これまで、男性に対する差別だと法的に訴えられた事はなかったか。2番目のコメントは、男性も含む形に名称を変えてはどうか?WINと同じように成長してきた原子力の若い年代の団体にYGNがある。ここは男女ともに入会を認めているので大変良い。
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| スー・イオン:イギリスには男性だけの組織も女性だけの組織もある。特に差別と問題視されたことはない。また、WINには男性も参加して良い。一方女性は地域社会とコミュニケーションしやすいこと、この業界では女性が少ないため女性の意見が通りにくいこともあり、このような組織の意義はある。 |
| 松原純子:日本の原子力分野は大多数が男性であり女性は珍しい存在である。かなり高い技能がなければ採用され難い。女性の数が少ないのでこのような組織があるのでは。 |
| 小川順子(WIN):WINは男性に対してもオープンである。申し込み用紙があるので早速入会されたい。WIN-Japanは女性を正会員、男性を賛助会員にしている。日本原子力学会の女性の割合が2%と極めて低く、男性会員ばかりの組織になることを避けるため男女の会員に差をつけている。これからは若者の啓蒙が重要であり、WINは女性だけでなく若者や子供達に対しても原子力に関心を持ってもらえるように活動している。 |
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| 参加者B:女性が男性より少ないのは確かであるが、原子力に反対する女性が多い。女性に対しては、原子力についてどう説明するのが効果的か、ご指南願う。 |
| スー・イオン:イギリスでも女性が否定的な意見を持っている場合がある。男性は理論的に説明すれば理解が早い。女性は、ハードな問題にではなくソフトな問題(環境等)の方に興味を持っている。地球温暖化、CO2排出量、安全性、電気やエネルギーがなくならないようにするための方策等を説明する効果的である。しかし、政府や大企業の名前で女性を説得することは難しい。放射線やエネルギーについては、学校教育の段階からYes-Noではなくオプションを示して対話することが望ましい。 |
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| 参加者C:廃棄物処分は都市から離れた地域で検討されるが、そのような地域でも対話は必要になる。ウェブを利用することを考える場合、どのようなKeywordが女性をひきつけるかを調査したことがあるか? |
| スー・イオン:大変良いご指摘だと思う。ウェブやGoogleサーチの活用等、IAEAでも議論している。IAEAが非常に良い資料を出しているが、検索方法が女性にとって使いやすいものにはなっていない。今後その辺りを検討することが大切だと思う。 |
| 松原純子:女性は、放射線がDNAに及ぼす影響や、どうすれば自分の身を守ることができるか等に関心が高い。放射線の生物学的影響を詳しく説明すると良いだろう。政府等から様々な資料が出ているが、女性が知りたいポイントを抑えているだろうか。相手が本当に知りたい情報を提供するためには、双方向の対話が必要である。 |
| スーザン・E・ピケット:女性がどのようなウェブに関心を持つかは重要である。地方で距離が離れているのでウェブを使う。日本には反対派の女性も多いので、良い提案だと思う。 |
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| 参加者D:フライト・アテンダントはほとんどが女性であるが、宇宙線の影響は調査されているか。 |
| 松原純子:疫学調査は実施している。宇宙線には中性子線が含まれ、これはガンマ線よりも影響は大きい。高高度では地上よりも線量が多少高くなるが、総線量で見るとそれほど高くはない。生物は宇宙線環境で進化してきたので、ある程度、自然治癒、回復機能がある。人体には多重の保護プロセスがあり、一つヒットしただけで癌になるわけではない。このため、宇宙線の影響が顕著になることはない。 |
| 菊山薫子:航空業界では、飛行回数等の規定はあるか。 |
| 松原純子:制限はある。それを超えないようにする。但し、その制限レベルでも線量は一般人より少し高い程度である。 |
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| 参加者E:原子力工学科で10年程教鞭をとっている。現在の学科長はJasmina
Vujic教授という女性である。先日、学科のブースを設けて学生に説明した。1995年当時には学生がブースに来ることはなかったが、今回はたくさんの学生が立ち寄り、半数以上が女子学生だった。明らかに状況が変わってきている。また、原子力工学科の女性の学生も増えている。放射性廃棄物の分野では学生の7割が女性である。この良い変化を継続するため、大学として支援できることがないか伺いたい。 |
| 菊山薫子:米国では原子力工学科に女性を引き込むため、何かしているか。 |
| スーザン・E・ピケット:詳しくは知らないが、奨学制度等を中学/高校から大学に継続するようなことか。また、良いロールモデルを後輩に見せて、後に続いてもらうこと、男性、女性を問わず、科学、数学等についてコミュニケーションする中で、面白さを伝えてゆくこと等が考えられるのでは。 |
| スー・イオン:学科やその時の雰囲気にもよるが、環境科学(生物学化学、化学工学を合わせたようなもの)は女性も多い。物理には女性が近づき難い。イギリスでは数学、物理、化学、生物などと分けずに21世紀科学という学科を試験的に設けている例もある。14歳から16歳を対象とし、燃料電池、太陽、風力等も含めてエネルギーを扱い、物理や化学を特に区別しない。放射線については、マイナス面だけでなく、食物の品種改良や照射による殺菌等のプラス面も教える。日常生活に関連する部分について教えることで、より多くの学生が集まるようになる。 |
| 松原純子:サイエンスを専攻する女性はたくさんいるが、卒業した後で社会に出て、女性が中々昇進できないことが問題ではないか。女性にチャンスを与える社会の仕組みが必要なのではないか。 |
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| 菊山薫子:まとめとして、女性は男性よりもコミュニケーション能力に長けている。原子力、環境に対する関心が高まる中で、より良い対話が望まれており、女性のコミュニケーション能力をもっと活用すべきである。また、理工系を専攻する女性が増える環境を整える必要がある。原子力産業界だけでなく、社会全体に良い影響があるだろう。 |