HOME > 会員の仕事 > 串間 有紀子(くしま ゆきこ)

原子力・放射線の分野で働く女性たち

串間 有紀子

「できない」「わからない」とは言わず、
「どうしたらできるのか」を考えます

串間 有紀子(くしま ゆきこ)

日立GEニュークリア・エナジー株式会社
原子力計画部 プラント計画グループ
技師

入社動機について教えてください。

 大学院1年生のときに受けた原子炉の保全に関する講義が、入社のきっかけです。原子力メーカー社員の方が講師となり、当時、プラントの機器や部品などの維持基準について講義をされました。モノを使えば壊れるのは当たり前ですが、どの程度まで使えるか、今まさに基準をつくっている最中だという話をお聞きし、驚きました。私は大学院まで機械工学が専門で、プラスチックに炭素繊維などを入れた複合材料の強度や寿命について研究し、原子力とはまったく違う分野でしたが、自分の研究が役立てるのではとも感じ、原子力分野を第一希望にしました。

日頃の仕事は、どのような内容ですか。やりがいや、心掛けていることも教えてください。

 入社して10年間、ずっとプラント計画グループに所属し、発電プラントの上流側の設計を担っています。例えば、冷却システム設計にあたり、どのような熱交換器が必要か、システムの流量からどういう配管が必要かなど、どんな設備が必要かを計画する部門です。

 自分の設計をもとに他の部署が動くので、日中は他部署や顧客との打ち合わせで終わることもあり、夕方から自分の設計に取り組む日も多いです。

 仕事で難しいことを求められたとしても、「できない」「わからない」とは言わず、「どうしたらできるのか」を考え、前向きに突破口を見つけるように心掛けています。後ろ向きな人には、何度も会ったり電話で丁寧に話すようにしています。その結果、周りも自然と「やってやろう」という雰囲気になります。

 現在建設がほぼ終わっている中国電力の島根原子力発電所3号機の試運転期間に、設計評価のため4カ月ほど駐在しました。その際、安全システムのなかで一番重要なポンプの試験で、パラメータが予想とは大きく異なる傾向を示したことがありました。そのとき中央制御室にいたメンバー全員が「どうなっているのか」という表情で一斉に設計者の私を見たときがとても印象に残っています。とっさのことでしたが、慌てずに状況を説明することができ、冷静な対処ができたのは、その後の対策過程に良い結果を導いたと思います。対策中もさまざまな困難がありましたが、しっかりと対応して使用前検査に無事合格しました。徹夜が続く時期もあり大変でしたが、良い経験となり、技術を身につけることができました。

 新しい規制基準施行後は、既設プラントの安全性に対する原子力規制委員会の審査が動画サイトで生中継されるようになりました。また、審査に使われた資料は、即日原子力規制委員会のホームページに公開され、データも残ります。資料には、私たちメーカーが作成した部分もあるため、間違えられないという緊張感があると同時に、やりがいも感じます。

 現在の大きな仕事は、国内プラントの再稼働に向けた安全対策設備の設計です。原子力への風当たりが強く、後ろ向きな気持ちになりがちですが、日本のエネルギー事情を考えると原子力発電はやはりなくてはならないものです。今までメンテナンスしてきたプラントを、自信を持って再稼働できるように、これからも取り組んでいきます。

ワークライフバランスは、どのようにとっていますか。

 夫(近くの事業所で半導体分野の技師)は私より帰宅が遅いので、基本的な家事は私が担当します。夫も時間があれば手伝ってくれます。お弁当づくりも楽しみです。

 夫婦共通の趣味が弓道で、会社の弓道部に所属しています。実は、夫とは弓道部を通じて知り合いました。

 弓道を始めたのは入社後です。歳をとっても続けられるスポーツがしたいと思っていたところ、会社に部活があると知り、弓道を始めました。

 練習は他の部員と一緒ですが、最終的にひとりでやる競技なので自分と向き合うことができ、良い気分転換になります。的に中たったときの乾いたきれいな音を聞くと、気持ちが晴れます。

(2015年6月当時)