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原子力・放射線の分野で働く女性たち

佐藤 ちか

コミュニケーションの質が
原子力製品の品質の決め手になります

佐藤 ちか(さとう ちか)

株式会社東芝 エネルギーシステムソリューション社
原子力事業部 原子力品質保証部 品質保証企画担当
主務

入社動機について教えてください。

 私が就活をした時代は、バブル期真っ盛りで、証券・金融・保険・商社という分野が大人気。学生側は、嫌ならいくらでも企業を選ぶことが可能でしたし、企業側も、とにかく新人の人数を確保したいといった状況でした。そんななか、自分は腰を据えた社会人になりたくて、メーカと石油会社を希望していました。比較的、休みが長いと言われた石油会社も魅力だったのですが、男女雇用機会均等法施行の初年度であっても、企業訪問の際に女性を重用する風土文化がないといわれた時代でした。今となっては、メーカでも製品サイクルが比較的速い家電や通信分野ではなく、エネルギー分野、特に重厚長大といわれた原子力関連業務に従事できたことは、ご縁に恵まれたと感じています。

日頃の仕事は、どのような内容ですか。やりがいや、心掛けていることも教えてください。

 原子力製品の品質を保証する仕事をしています。この品質保証は、製品を客先納入するまでのプロセスにおいて、適切な品質管理のルールに従い、設計・製造・調達・現地据付していることを説明できるようにする仕事です。つまりそれは、製品の完成品であるアウトプットが客先要求事項、契約書、規制・規格、設計仕様などのインプットと合致していることを、客観的なエビデンス(証拠)で示すことです。

 

 私たちが何か製品を購入するとき、「保証書」が付いていますね。保証書そのものがないものは安価となる場合が多いですが、品質が担保されていない分、買手側が故障やトラブルのリスクを負うことになります。つまり、「品質を保証するプロセスを含めた製品」に対して対価を支払っているわけです。私たちは、技術開発の恩恵を受けて便利な生活をしていますが、東日本大震災で思い知らされたように、自然災害のような人知を超えるリスクは残っており、「絶対安全」「ゼロリスク」はあり得ません。だからこそ、既知のリスクがコントロールされた品質の製品を、安心して使えるようにすることが、品質保証の役割です。

 品質保証は、製品をお客様に納める最後の砦となる立場です。この立場のために、設計者や工場、発電所の作業者からは煙たがられ、問題なく完遂してもほめられることがない業務です。しかし、お客様の立場では、いざ何かあった場合、国や市民などの第三者に対して説明のつく品質管理が求められます。品質保証活動は、書面の世界に思われがちですが、意外にもFace to Faceのコミュニケーションが不可欠です。実態を知るためには、自ら現場・現物の確認や、関係者からの状況把握が重要です。

 経験上、コミュニケーションで手抜きすると、あとから必ず面倒な結果が返ってきます。コミュニケーションの質が製品品質に影響するといっても過言ではありません。

 以前、WiN-Jの先輩から「しなやかに 強かに」という言葉をいただいて、自分のモットーにしています。組織の一員である以上、思い通りに進まないことはありますが、相手の立場を洞察できるしなやかさと、軸はぶれない強い信念をもちたいと思います。Face to Faceでの粘り強いコミュニケーションは、品質保証の活動でも、一般の方との原子力広報の対話活動でも共通する重要な要素です。

ワークライフバランスは、どのようにとっていますか。

 IT(情報技術)という便利なツールのお蔭で、外出先でも、時差のある海外でも、情報が瞬時に入手可能となり、仕事の加速が止まりません。文書をゆっくり読み、理解する時間が取れなくなってきています。セルフ・マネジメントがしっかりできていないと、余裕なく追い立てられてミスを招く結果になります。だからこそ、意識して緩急をつけた生活を心掛けたいものです。

 発電所では、毎朝、所長以下、さまざまな立場の作業者が一同にラジオ体操を行って集中力を高め、現場作業の事故とヒューマン・エラーを防ぎます。

 同じラジオ体操でも、私の場合は別の効果をもたらしてくれます。休日の山下公園までのウォーキングと、そこでの見ず知らずの人たちに混ざってのラジオ体操は、私の仕事モードを完全にオフにします。

 また季節の良いときには、山歩きと日帰り温泉に行きます。時間とお金をかけなくても、「日本人で良かった。極楽、極楽」と感じることができますよ。オン・オフのメリハリをつけ、それぞれを充実させるためにも、大切にしたい時間です。

(2015年6月当時)