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原子力の仕事をする女性たち

小林 容子

小林 容子

さまざまな目標に向かって考え、実行していく最適化の研究

これまでに、原子炉の炉心設計や動特性解析、炉心監視システムの開発などにたずさわってきました。原子炉には内部に約4メートルほどの燃料集合体が数百本入っています。1サイクル運転するごとに全燃料の約4分の1を新しい燃料と交換しますが、その際、古い燃料と新しい燃料で反応度の違いが出てきます。そこで、さまざまな安全基準を満たせるように燃料の最適な配置を決めていく――これが炉心設計の仕事です。また、柏崎刈羽原子力発電所等に導入されている炉心監視システムの最初の開発も担当しました。そして、現在は、原子力に関わる複雑システムの最適化の研究を行なっています。“最適化”というのは、簡単にいえば「さまざまな目標に近づくよう考え、実行する」ということですね。さらに、「原子力への理解を深めてもらう」という目的のもと、人間社会を対象とした研究も進めています。主婦やご年輩の方々、世代の異なるみなさんに原子力のことをわかりやすく説明するにはどうしたらいいのか、それを考えることも私の仕事です。


炉心監視システムの開発にたずさわる。

原子炉の設計を行って感じた原子力の安全性

炉心監視システムの開発をはじめた当初は、本当にたいへんな毎日でした。いまでこそ原子力プラントの設備にワークステーションを導入することは一般的になりましたが、当時は先進的な技術でしたし、「そんなことはできない」という声もあったんです。でも、達成できた。そういうシステムを開発できたことは、私にとって何にも変えがたい自信となり経験となっています。また炉心設計の仕事から、「原子炉にはさまざまなリスクがあるけれど、きちんと対応すればコントロールできる」ということも非常に実感できました。だからこそ、一般の方に原子力の説明をする際、自信を持って「ちゃんと運転すれば安全ですよ」と言えるようになったのです。


現場の燃料グループの人と、モニタでシステムの機能をチェック。

海外でも活きてくるWiNのネットワーク

炉心設計や炉心監視システムの開発などに加え、人間社会の研究をするようになってから、WiN-Japanでの交流会やフォーラムに参加することが仕事のプラスになると考え、入会したんです。人間関係の幅を広げることができましたし、交流会などで、別の場所で原子力にたずさわっている方や一般の方の意見を聞くことは、大きなプラスになりましたね。また、私の原子力に関する経験を若い会員に伝えることで、逆に何かを与えられればという考えも持てるようになりました。あとは海外出張の際、世界大会で知り合った方に連絡を取って調査したい分野の人を紹介してもらったこともあります。私にとってWiNは、さまざまなシーンで役立つ心強い存在です。

「前例がない」なら作り出す自分にしかできないことをWiN-Japanと共に

私はこの仕事をするうえで、何度も「前例がない」という言葉を耳にしました。それは当たり前のこと、いつか誰かがやらないと前例は作れないと私は考えます。原子力は女性がまだ少ない分野ですし、また保守的な世界であることは否めません。でもそのなかで、私にしかできないことを一つでも二つでもやっていけたら――。そしてそのキッカケ作り、助力として、WiNはとても力強い情報提供の場所になっていると思います。年齢などは気にせず、積極的に参加して自分の知識や、ほかの会員との交流を深めてもらいたいです。必ず、この先プラスになるものを得られますよ。

(2009年2月)