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私たちの活動

テクニカルツアー 放射線医学総合研究所

実施概要

2018年10月15日(月)、量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所(以下、量研放医研)へのテクニカルツアーを実施しました。
WiN-Japanから29名、共催の日本電機工業会(JEMA)原子力広報分科会から8名(うち2名はWiN-Japan会員でもあり再掲)の、計35名が参加しました。

見学の目的

量研放医研は放射線と人々の健康に関わる研究開発に取り組む「国内唯一」の研究機関であり、被ばく医療の中核として専門家の派遣や従事者への対応、また医療における放射線の利用研究を行っています。これらは一般の方の関心も高いところであり、私たちの知識を深め、放射線に対する理解活動に役立てることを目的としました。

見学および説明の内容

【概要説明】

  • 量研放医研は、低線量被ばくによる生物・環境影響研究や高線量被ばくに対処する被ばく医療研究などの「放射線安全・緊急被ばく医療研究」と、重粒子線を用いたがん治療研究や病気の本態に迫る疾患診断研究、放射性薬剤を用いた次世代がん治療研究などの「放射線の医学的利用のための研究」の二つを柱として研究している。

【緊急被ばく医療施設】

  • 緊急被ばく医療研究センターでは、被ばく患者の治療方針を的確に判断するための研究を行っており、被ばく患者が搬入された際に的確に処置するための設備や内部被ばく線量を評価するのに必要な全身計測装置(ホールボディカウンター)が整備されている。
  • また、国内外を対象に、被ばくや汚染事象が発生した際、迅速かつ適切に対応し国や地域で緊急被ばく医療の中心的な役割を果たす人材の育成も行っている。

【重粒子線がん治療装置(HIMAC)】

  • 重粒子線がん治療とは、がんの放射線療法の一種で、がん病巣に重粒子線(量研放医研では炭素イオン線)を当てる。その際、炭素イオンを光速の約70%まで加速する必要がある。
  • HIMACは、世界に先駆けて建設された装置で、炭素イオンを作るイオン源、炭素イオンを加速するシンクロトロン、治療室、などからなり、サッカーコートほどの大きさがある。HIMACの研究成果をもとに開発された後続の普及型は大きさ・建設費共に3分の1ほどになっている。
  • 重粒子線を患部に効果的・効率的に当てるために、従来は患者が身体の向きを変えていたが、楽な姿勢で治療が受けられるようどんな方向からでも重粒子線が当てられる回転ガントリーを新たに開発し、追加設置した。

見学を終えて

  • 放射線被ばくの影響を研究する「守りの研究」と放射線を医療に上手く利用する「攻めの研究」の両方において専門性の高い研究機関であり、その重要性を強く実感しました。
  • 重粒子線がん治療装置の大きさに圧倒されましたが、今後、研究や臨床試験が進み、装置の小型化・普及や保険適用の拡大が進めば、がん患者の治療中のQOLのさらなる向上が見込めると期待します。

電機工業会(JEMA)機関誌「電機」No.801(p55)に見学記が掲載されました


被ばく医療センターの患者搬入エリアにある対処時装備服。説明者は立崎センター長。

ベッド型ホールボディカウンター

2016年に導入された回転ガントリーの治療室(画像提供:量研放医研)

回転ガントリー装置。長さ13m、重さ300トン。