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私たちの活動

WIN-Global年次大会 第11回WIN-Global年次大会(アメリカ)

開催概要

パネルディスカッション・規制問題

報告者:千歳敬子(三菱重工業株式会社)

  1. 日時 2003年6月18日13:30~15:00
  2. 場所 ハイアットリージェンシーホテル レイクラスベガスリゾート 全体会議の会場
  3. Plenary Session:Panel of International Regulators
    パネリスト 進行役:
    The Honorable Greta Joy Dicus(Commissioner、US NRC)
    Cait Maloney(Director General、Canada NSC)
    The Honorable Dr. Junko Matsubara(Vice Chairperson Japan NSC)
    The Honorable Paloma Sendin de Caceres(Commissioner、Consejo de Seguridad Nuclear Spain)

内容

現在、原子力規制分野では9人の女性が委員長レベルの要職についている。そのうちの4人が一同に介して、Dicus氏の司会のもとに各国の状況や原子力の今後について、パネルディスカッションを行った。事前にDicus氏から、各パネリストに以下のテーマで質問が投げかけられており、それらに答える形でパネルディスカッションが進められた。
(1)情報公開とセキュリティ問題とのバランス(特に9.11テロ以降)
(2)住民から信頼される原子力規制体制(委員会)とは何か。住民を参加させるにはどうしたらいいか
(3)事故が起こった時に、規制側がその情報を世界規模でリアルタイムに共有し、各地域に伝えていくにはどうしたらいいか
(4)原子力発電の将来
各パネリストからの発表とその後の会場とのディスカッションを以下にまとめる。

●カナダ(Cait Maloney)

  • ベッテル電力 Ms.Kristen Braun氏によるプレゼンテーション。
    The Capital Connectionに関するコミュニケーションの方法について,ターゲット・テーマ・アプローチの仕方・関係の構築等について説明がなされた。
    「リレーションシップは一夜にしてならず」。
  • 小川順子 WiN-Japan会長(日本原子力発電)によるプレゼンテーション。 「原子力に関するコミュニケーションの話題」をテーマに(1)原子力委員会が実施している市民懇談会、(2)日本原子力発電の地域住民への訪問活動、(3)中学・高校での総合的な学習の時間での原子力PA(ゲストティチャー)について説明がなされた。会場からは、「訪問はアポを取っていくのか」「訪問する社員のトレーニングはどうしているのか」「face to faceとはどういうことか」等質問がなされ、訪問活動に関する関心の高さが伺えた。
  • クリティカルな状態における情報発信の難しさであるが、テロの時にはNRCの人々と個人的なネットワークがあったので協力しながら対応することができた。
  • 地元への情報発信(Outreach)が大切で、メディアを使うことも有効。住民が聞きたがっていることを伝える。ただし、全てを話せば良いというわけではなく、たとえば地元の議員に対しても、公式な発表の場以外で細かい情報を聞きにくる人に対してはNO,I'm Sorryということも必要。
  • Educationするのが仕事ではなく、情報提供につとめる。
  • 将来については、カナダではプラント建設の予定はないが、原子力に対して根底にある不安感が問題だと思っている。廃棄物も大きな問題である。

●日本(松原純子氏 原子力安全委員)

  • 日本にとっての9.11は米国での影響と比較すると、特に規制側に対しては、あまり大きな影響はなかった。それよりもTEPCO問題が大きい。
    原子力安全委員会の役割も変わり、透明性の大切さが増した。
  • 伊方発電所ではJCO事故を契機に情報を全て公開するようにした(この前後で報告件数が急激に変化しているチャートを示しながら)。昨年タービンのコンクリート架台にひびがはいった時、これは原子炉や放射線という意味では全く影響のないことであったがマスコミはことさら騒ぎたてた。一方、地元は冷静であったので、これは日頃の情報発信のおかげだと思っている。
  • 住民参加としては原子力安全委員会(NSC)がパブリックシンポジウムを開催したり、Web SiteでのQ&Aを実施している。
  • またNSCの中立性を保てるような組織構成になっている。
  • JCO事故後でも、原子力に対する恐怖心はそんなに変わっていないとの意識調査結果がでている。それは、すでに放射線は怖いものだとすり込まれているためである。専門家は低線量の放射線影響について線形仮説を用いており、公衆から恐怖心を取り除けない理由のひとつ かもしれない。
  • 発電所はリアルタイムモニタリングでデータを公開している。
  • 将来について述べるが、NSCではリスクコミュニケーションに取り組んでいる。放射線だけでなく広い意味でのHealth Physicsについて、全体を見渡してリスク情報を再度見直す必要がある。これまでの科学を超えて、今後の科学技術では技術開発+Communicativeであることが求められるようになる。対話が必要である。

●スペイン(Paloma Sendin de Caceres氏)

  • 情報公開とセキュリティはある部分ではトレードオフが必要である。両者は一緒に扱われるべきであり、優先度が高いのは透明性だ。セキュリティ問題は管理されるべきものである。
  • 一般の人を参加させるためには、これまでの意志決定のプロセスを変えていく必要がある。Perceptionを共有することが必要である。
  • 人々から原子力規制機関を信頼されるためには、規制機関側のGood Performanceはもとより、「信頼を築くことは難しく失うことがいかに簡単であるか」を認識することが大切である。
  • 一般 の人々から信頼されるために科学的根拠を揃えることが重要。ただし、その一般 の人々からの信頼度を定量的に示すことは難しい。
  • 現代では情報を瞬時に世界で共有できるので、逆にコミュニケーションに対する戦略が大切になる。規制側は中立の立場にいなければならない。
    また適切な場所で、適切なタイミングで情報を発信するようにつとめる。INESの事故のレベル分けは分かりやすいし、全世界で使われているがこれで十分というわけではない。
  • スペインの原子力の将来としては、電力の自由化、プラントの寿命延長、技術力の維持と信頼の回復などの課題がある。

●Dicus氏(米国NRC)による総括

  • 原子力関係では特にセンシティブな情報も多いので、よく整理された情報を共有できるようにすることが大切である。
  • 一般の人達を巻き込むには情報共有と透明性である。また規制機関は考えを押しつけたり教育をすることはできないし、してはいけない。
  • NRCは9.11の直後にWeb Siteをクローズした(現在は再開)。たとえばポンプ2台の位置、その運用方法などの細かいデータを掲載していたがそれらのあまりに詳細な情報は出さないことにした。
  • Real Timeのコミュニケーション方法に関しては、現在はIAEAに即時に報告することにしてある。現在、何か起こるとあちこちから電話がかかってくることもあり、今後最も良い方法は何かを考えていく必要がある。
  • アメリカでの原子力の将来は、私見であるが大変Positiveだと思っている。NRCは近く新設プラントの申請を受けると思う。新設地点ではなく発電所内への増設の方が申請は簡単である。炉型については、今は分からない。Gen-IVで検討してる炉型などいくつか候補がある。NRCでは、ペブルベッド型の原子炉にも興味をもっている。ここではEPZ(Emergency Planning Zone)を10マイルから2マイルに縮小すること、格納容器を不要にできるか、などが検討されている。
  • 現在の米国のエネルギー需給状況はギリギリであり、猛暑、極寒になった場合には不足するのでエネルギー確保を考えていかねばならない。
  • ユーティリティ側にとっては、現在のような経済状況ではすぐに建設できて利益が上がるようなプラントでないと建てられない。アメリカでは金利引下げなど、サポートする対策を検討しているところである。
  • 世界的には最も大きな問題は原子力規制側の人材が減少しており、それを引き継ぐ世代の人材が不足していることである。原子力の将来性が見えていないので、大学でも関連する学科を廃止しているところがある。今後原子力の安全を確保できるのか、大変深刻な問題である。

●会場からの質問及びコメント

コメント(カルニノ会長):
コミュニケーションは大きな問題であり、今後も考えていかなければならない。INESの事故の尺度は世界的に用いられており、一般の人に伝えるには分かり易い良い手法である。必要であればスケールについては見直しを行う。また、IAEAでは新たにWeb上に事故情報のNewsを載せるシステムを作った。アクセスレベルには制限があるが、このシステムを使って各地に情報を届けることができる。原子力発電所関係のデータベースも徐々に一般公開されており、大きな進歩である。

質問:
安全保障という観点で、9.11以降原子力の規制側で変更した部分があるか?

(日本):
規制サイドという点では特にないが、国際情勢に合わせた対応をしていくつもりである。
(スペイン):
管理が強化されている。最近では発電所におけるPhysical Securityが問題だと考えている。
(カナダ):
9.11以降、発電所に武器を携帯した守衛をおいている。また、立ち入りに関する検査は厳重になっている。一般 の問題としては、病院などのRIの管理が問題であると思っている。

質問:
最近、デービスベッセのような材料関連の問題が多いと思う。日本でもそうである。産業界では情報共有につとめているが、研究所や規制側としてはどうしているのか?材料関連のデータやトラブルについての情報を国際的に共有しているのか?

(アメリカ):
非公式のものであるが(その分野の関係者グループ)、情報を共有している。

質問:
規制側としても国際協調が大切ではないか?原子力産業としてもこれは大きな意味がある。たとえばPBMRのような新しい技術に関して、規制側が国際的に協調することはできないか?

(アメリカ):
原子力プラントの建設には各国独自の問題がある。最後はそれぞれの国で決めるべきものであると思う。

質問:
INESの事故尺度のように、Safety Cultureを定量化して尺度で示すことはできないか?

(アメリカ):
非常に大事なことであるが難しい。規制側機関がマネージメントも扱わねばならなくなる点が難しいところである。

パネルディスカッション会場

松原先生を含む4名のパネリスト