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開催概要
リスクコミュニケーション講演(西村報告)
- 日時 2003年6月18日 8:00~10:30
- 場所 ハイアットリージェンシーホテル レイクラスベガスリゾート カサブランカボールルーム
- Plenary Session:Risk Communications
進行
講演者 イレーネ・エゲテ博士 スイス国家原子力安全委員
ビンセント・コベロ博士
リスク・コミュニケーションセンター(非営利の研究所。在ニューヨーク)所長 25年間にわたり、学会、政界で活躍。リスク関連の著書25冊、論文75編以上。
内容
- リスク・コミュニケーション研究は、30年前に原子力分野で始まった。しかしそれは人生のあらゆる局面 で必要であり、以下のような状況で効果 的なコミュニケーションについて科学的なアプローチがなされている。
・ 関心が高い
・ ストレスが大きい
・ 感情が高まっている
・ 論争的な状況 リスク
・コミュニケーションの目的は、人々を説得し、人々を変化させることにある。
- リスクの定義
・ 価値があると思っているものに対する様々な脅威
・ 何かを失う可能性
- どういうことがリスクとして認知されやすいか
| あまり認知されない |
強く認知される |
| 信じられること |
信じられないこと |
| 利益があること |
利益が無いこと |
| 自発的 |
非自発的 |
| 自然 |
人工的 |
| 知っている |
知らない |
| 確か |
不確か |
| 公平 |
不公平 |
- 脅威と理解されるとき、重要な事項とその重み
信頼 2000 例:この発電所の職員は、全員発電所から1キロ以内に住みます
制御 1000 例:地域の人が発電所を査察し、市長に報告します
利益 1000 例:電力料金と税金は、発電所閉鎖後も永遠に無料です
- IDK(I don't know)モデル:相手からの質問に対して「知りません」と言うときのモデル
(1)質問を繰り返す
(2)自分がそれについて知らないことを言う/示す
※「コメントできない/無い」と言った場合、85%の人は、その人が何か悪いことを隠していると思う
(3)なぜ自分がそのことを知らないのか、理由を言う
(4)締め切りを決めて、フォローアップする。
例:「調べてから、何日何時までに回答します」
(5)自分が知っていて、話せることに話題をつなげる
- 関心度の高い項目で、信頼される要因と影響度
・共感し、感情移入して聞いている 50%
・正直で、つつみかくさない 15~20%
・献身的で積極的に関わっている 15~20%
・その分野の専門家である 15~20%
- C/C/Oテンプレート:リスク・コミュニケーションに必要な3つの要素
・Compassion:同情(共感)
・Conviction:確信、信念
・Optimism:前向きな姿勢
これらを織り込んで、Q&Aを事前に丹念に準備することが必要。 例えば、ジュリアーニ・ニューヨーク市長は、あらゆる災害を想定し、そのときのQ&Aシナリオを準備し、リハーサルを30回以上行っていた。その中には、「貿易センタービルが崩壊する」というシナリオも、事件以前から含まれていた。
- 27-9-3ルール:関心を得られるスピーチの長さのルール
※これは米語の場合で、詳細は各国の言語研究結果 を参照されたいとのこと
・27語
・9秒以内
・3つのメッセージ、考え方、または要点
- ことば以外のメッセージ
・75%ルール:75%のメッセージは、ことば以外から得られる
・目の動き、手、姿勢など インタビューの時は、カメラではなく、インタビューアーを見る。手(手首から先)を常に見せる。テーブルの上に置く。腕を組まない。姿勢はちょっと前に乗り出す。
- リスク・コミュニケーションの準備
(1)27-9-3ルール(前述)
(2)最初/最後ルール:大切なことは,言うことのリストの最初か最後に置く
(3)1N=3Pルール:ひとつネガティブな(よくない)ことを言ったら、3つポジティブな(よい)ことを言わなくてはならない
- メッセージマップの作り方
3つのメッセージとその実証根拠をまとめる

- まとめ
(1)リスク・コミュニケーションには、科学に裏打ちされた、方法論、知識がある
(2)ストレスの大きいときと小さいときでは、コミュニケーション手法に違いがある
(3)準備が何よりも大切
- 講演中のロールプレイング
原子力の将来に関して、信頼を得るスピーチをし、コベロ博士のインタビューを受ける
アメリカ人3人が参加。中で印象的だったのは、「あなたの会社で女性差別 はありますか?」ときかれて言葉に詰まってしまった場面 。「女性差別は重要な問題ですが、今は原子力の将来について話しましょう」と逸らすのが正解とのこと。
5. 所感
コベロ博士の講演は、99年のワシントン大会に続いて2回目であり、U.S.WiNの強い関心が感じ取れた。国民性が均一で、「阿吽の呼吸」である程度コミュニケーション可能な日本に比べると、様々な国民性、文化背景を抱えるアメリカの方が、コミュニケーション手法の習得は切実な問題と思える。
これまで、アメリカの要人のスピーチがあまりにかっこよくて、感心していたが、こうした手法が駆使され、入念な準備がされていることがわかった。まったく同じ手法が日本人聴衆に受け入れられるかどうかは少し疑問だが、応用は可能だと思う。
かなりピンぼけですが、コベロ博士 |
満員御礼の会場風景 |