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私たちの活動

WiN-Global年次大会 第10回WiN-Global大会(フランス)

THORP(Thermal Oxide Reprocessing Plant)

報告者:佐々木淑江(株式会社日立製作所)

開催概要

日時:6月25日(火) 9:30-10:30
THORP(Thermal Oxide Reprocessing Plant)を見学

内容

1.THORP施設の概要

  • 海外からの委託再処理+国内再処理。年間再処理能力1200ton/年。総建設費約28.5億ポンド。
  • 1984年建設開始、1992年2月建設完了。
  • 1994年1月使用済燃料搬入(創業開始)、1994年3月せん断開始、1995年1月化学分離プラント稼動、1997年8月全面 運転許可取得。
  • PUREX法採用。J再のHAW濃縮工程と酸回収工程は、BNFLからの技術導入である。
  • 運転開始から10年間(1994~2003年)に7000tonの委託処理を契約したが、現状では処理困難な状況にある。1994年~2000年までの累積再処理量は、約2500ton。
  • 委託元は、ドイツ、スウェーデン、オランダ、スイス、スペイン、イタリー、カナダ、日本。

2.見学内容報告

(1)受入・貯蔵施設

  • PNTL社の船で海外から輸送された使用済燃料は、Barrow港からBNFL所有鉄道会社BRLの列車で、再処理施設まで輸送される。
  • Preparation Pondで輸送キャスクから出され、インナーコンテナのままプールで5年冷却される。
  • プールのサイズは、144x24x8m。貯蔵容量は、3300ton-U。
    (酸化燃料のインナーコンテナ1000体+AGR燃料150体。)
  • Feed Pondにて1集合体ずつ取り出し、再処理のHead-endへ移送する処理を見学した。
  • 動線や作業ヤードが、日本のプラントと比較してあまり整理されていない。

(2)せん断・溶解処理(前処理、Head-end)施設

  • せん断機1基と回分式溶解槽3基から構成される。
  • 燃料集合体は約2インチにせん断(1体のせん断所要時間:約1時間10分)され、溶解槽のバスケット内へ落とし込まれ、80℃で4時間かけて溶解される。その後140℃で7~8時間かけて完全に燃料を溶解し、45℃に下げてからバスケット内のハルを取り出す。
  • ハル&エンドピースは、中レベル廃棄物としてセメント固化される。溶解液は、遠心清澄機で清澄した後、溶媒抽出工程へ送られる。
  • 実際に燃料(AGR燃料)をせん断する様子を、ガラス窓&カメラ映像で見学した。
  • 動線や作業ヤードが、日本のプラントと比較してあまり整理されていない。

(3)Chemical Separation(溶媒抽出・分配・精製)施設

  • 説明のみ。(セル内に設置されているため見学不可)
  • パルスカラムによる溶媒抽出、Pu/U分配と、多段ミキサセトラによるPu/U精製工程。
  • 精製後の酸化ウランと酸化プルトニウム粉末は、隣接のSMPでMOX燃料加工に使用される。

3.見学現場ドキュメンタリー&感想

(報告者の思い入れが入っていますことをご了承ください。)

THORP。10年前に見たのと同じ赤と黒の斬新なデザインの外壁は、流れた歳月のせいか、少しばかり色が褪せたように感じます。私がここに来るのは今回が2回目。10年前はまだ建設中で、燃料受入・貯蔵プールをガラス越しに見ただけでしたが、その後1994年から運転を開始し、日本を初めとする海外の委託再処理を行っています。六ヶ所再処理施設の設計を担当していた頃、お手本はフランスのUP3、ドイツのWAK、イギリスのTHORPでしたので、私にとってとても懐かしく今もって気にかかる存在なのです。そのTHORPが運転中で目の前にあるわけで、感慨もひとしおでした。ちなみに、THORPは"THermal Oxide Reprocessing Plant"の略で、「ソープ」と読みます。

ここでも女性技術者が活躍していて、受入・貯蔵施設はアニーが、化学分離施設は化学のエンジニアでTHORPで働いているという、透きとおるような金髪のレイチェルが、それぞれ説明してくれました。
「受入・貯蔵施設」は、海外から船で輸送された使用済燃料が鉄道で運び込まれ、キャスクから出されてプールで5年間冷却され、その後再処理するために集合体毎に取り出されて、再処理の最初の工程である「せん断・溶解工程」へ向かうスロープを登っていく、という遊園地の乗り物のように「物が動く」設備です。正確にその動きを知りたがる見学者の山のような質問に、アニーが半分切れそうになりながらも辛抱強く説明をしてくれました。(皆さん、アニーが一生懸命してくれた説明を覚えてますか?)
いわゆる前処理工程(Head End)と呼ばれる「せん断・溶解工程」は、せん断機1基とバッチ式溶解槽(六ヶ所はフランスの連続式溶解槽です)3基から構成されています。ここでは、ガラス越し&カメラのレンズ越しに、実際にせん断機で燃料ピンが2インチの長さに切られる様を見ることができました。ぐしゃっと押しつぶすように切られた燃料の断面 の映像が見えます。切られた燃料が溶解槽へ続くシュータをころげ落ちていく様子が目に浮かび、「ほんとうに運転しているんだ」という実感が沸いてきました。この後、溶解槽のバスケット内へ落とし込まれた燃料は、80℃の硝酸で4時間+140℃で7~8時間かけて溶解され、遠心清澄機でゴミを取り除いてから、次の「化学分離施設」へ送られます。バスケットには「ハル」と呼ばれる燃料ピンのさやが残りますが、これはイギリスでは「中レベル廃棄物」になるのだそうです。

さて、再処理施設で実物を見学できるのはここまでです。物が動くので見ていておもしろく印象に残りやすいのですが、実は再処理のメインは、この後の「化学分離施設」なのです。ここはレイチェルが化学屋さんらしい説明をしてくれました。“Chemical Separation"というとおり、化学的な方法でウランとプルトニウムと核分裂生成物を分離する施設で、日本では「溶媒抽出」「分配」「U精製」「Pu精製」と呼んでいる工程にあたります。THORPでは、溶媒抽出とPu/Uの分配はパルスカラムで、Pu/Uの精製はミキサセトラで行われています。精製後の酸化ウランと酸化プルトニウムの粉末は、隣接するSMPでMOX燃料の加工に使われます。

化学屋さんにとっては、まさにここがハイライト。TBPという溶媒でウラン・プルトニウムを核分裂生成物から分離した後、プルトニウムの原子価を4価から3価に変えて(レイチェルがメモに「Pu(IV)→PU(III)」と書いて説明しました)ウランと分離する、なんて胸躍ることでしょう!ただ、原子力でもテクニカルタームが全然違う再処理の世界、化学屋でない者にとっては理解しがたい説明なわけで、そのせいかここのパネルだけは、日本語の文章で説明が付いています(!)。

再処理のメインの部分は、放射能レベルが高いため、運転が始まると全て密封されたコンクリートの「セル」の中に閉じ込められてしまい、人目に触れることがありません。溶解槽もパルスカラムもミキサセトラも、六ヶ所にあるのと同じ形をした高レベル廃液濃縮缶も、みんなこのコンクリートの壁の向こうで運転しているんだなあ、写真くらい見たかったな。まあ、実物を見ても化学反応は目に見えないけどね。東海村や六ヶ所の展示館のように、液体に色がついていて、透明の容器だったら別だけど。